ショベルヘッド
ヴィンテージハーレーの中で今でも1番愛用されているエンジンがショベルヘッドです。フラットヘッド、ナックルヘッド、パンヘッドの集大成であるショベルヘッドは、美しいエンジン造形を継承しつつ、より力強いエンジンフィーリングを得て、これぞハーレービックツインという主役の地位を確立しました。
名前の由来
エンジン上部(ヘッド)のロッカーカバーの形状がショベル(スコップ)のような形をしていることからショベルヘッドと呼ばれるようになりました。シャベルという方もいらっしゃいますね。
歴史・背景
ハーレー社のオーバーヘッドバルブ(OHV)の第3世代にあたるショベルヘッドですが、実は、このショベルが誕生したのは1957年のアイアンショベル、スポーツスターのエンジンが最初です。
ビッグツインモデルは、スポーツスターに遅れること9年後の1966年に誕生しました。
1950年代後半から60年代はイギリスバイクの黄金期で、トライアンフ、BSAなどが覇権を握っていました。ハーレー社は、打倒トライアンフ、BSAをスローガンにアイアンスポーツを開発していました。
そしてハーレー社は国内最高峰のエンジニアを投入し、技術の結晶をVツインエンジンに与え、ビックツイン ショベルヘッドが誕生しました。
1960年代後半になると、安価で高性能なバイクを日本が製造販売し、世界を席巻し始めました。
ハーレーを象徴するツアラーカテゴリも例外ではなく、ハーレー社は国の威信をかけて当時のアメリカが持ちうる全ての技術を投入し、ショベルヘッドは世界最大の排気量、最大のトルクを記録し、現在の地位を守ったのです。
しかし、改良は進んだものの、エンジンの振動やオイル漏れ、オーバーヒートなどのトラブルは改善されず販売台数は下がる一方でした。そして、経営不振に陥り、ついには1969年にAMF社に買収されてしまいます。
そんな中、創設者の1人であるオールド・ビル・ダビッドソンの孫である、ウィリー・G・ダビッドソンが現代のハーレーでも人気のあるローライダーなど、FLのフレームにスポーツスターXL系のフロントフォークを採用するスポーティなモデルFX系を開発します。これはハーレー社初のファクトリーカスタムモデルで、ハーレーをカスタムするライダー層に大ヒットします。
さらに1340ccを搭載したモデルを次々と販売し、ついには1981年にAMFから株式を買い戻すことに成功したのでした。
販売期間
1966年から1984年の18年間販売されました。
種類とモデル
アーリーショベル |
製造期間:1966年~1969年 発売当初はパンヘッドの腰下(クランク部分)を流用して販売された。希少価値が高く大人気で入手困難なエンジン |
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コーンショベル |
製造期間:1970年~1984年 ジェネレーターが廃止され、軽量でコンパクトなオルタネーター(交流発電機)に変更された。また、カムギヤケースがピーナッツ型から、五角形(円錐形)のコンパクトなものへ変わり、その形状からコーンショベルと呼ばれた。 |
1966年〜 |
FL、FLHを基本に、大きなバッテリー付きがB、フットシフトがF、高圧縮比がHという文字を付け加えてFLB、FLFB、FLHB、FLHFBなどのモデルもリリースされました。 1970年にキックスターターが廃止されると、こうした名称のモデルも廃止されました。 |
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1971年 | FX1200 スーパーグライド(別名:ボートテール)の誕生。FLのフレームにスポーツスターXL系のフロントフォークを採用するスポーティなモデルFX系が誕生する。 |
1977年 | FXS ローライダーの誕生。当時絶大なる人気を誇る。 |
1978年 | FLH エレクトラグライドに1340ccエンジンを搭載して販売。 |
1979年 |
FXS ローライダーに1340ccエンジンを搭載して販売。 FXEF ファットボブスーパーグライド、FLHC エレクトラグライド、FLT ツアーグライドを販売。 |
1980年 | FXB スタージス、FXWG ワイドグライド、FLHS エレクトラグライドを販売。 |
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