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ナックルヘッド

ハーレー社として記念すべき初のオーバーヘッドバルブ(OHV)エンジンを搭載したのがナックルヘッドです。
現行モデルもOHVのエンジンを搭載しており、まさにハーレーの始祖と呼べるエンジンです。誕生から80年以上経った今でも絶大な存在感を誇っていて、その造形美に魅せられるファンが多いとても貴重なエンジンです。

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名前の由来

エンジン上部(ヘッド)のロッカーカバーの形状がゲンコツ(ナックル)に似ていることからナックルヘッドと呼ばれるようになりました。

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歴史・背景

ハーレー社は1929年にVツインエンジンの基礎となったサイドバルブエンジンを搭載した「フラットヘッド」を主軸に車両を生産していました。しかし、当時、アメリカ国内のライバルメーカー「インディアン」や、英国の「BSA」などが相次いで、最先端技術であるオーバーヘッドバルブ(OHV)方式のエンジンを搭載した新型車をリリースし、ハーレー社は危機を感じていました。
そこで、ライバル社に対抗する形で開発・リリースされたのが、ハーレー社として初のOHVエンジンの「ナックルヘッド」になります。

この頃、日本では製薬会社の三共がハーレー社より正式なライセンスを得てサイドバルブエンジンを搭載した車両を生産していました。
日本でも同じようにEL系のナックルを生産するようにアメリカからプロトタイプ車が送られてきて、国産化に向けて調整を進めていましたが、バルブスプリングの破損やギヤの欠損、オイル漏れといった多数のトラブルが発生しました。
原因のひとつに、当時の日本は道路の舗装がまったく進んでいなかったことが挙げられます。
結果、フラットヘッドでは皆無だったトラブルが多発したことで、日本での生産は見送らることになりました。

販売期間

1936年から1947年の11年間販売されました。

種類とモデル

EL
製造期間
1936年~1948年
排気量
1,000cc(61キュービックインチ)
圧縮比
7.0
出力
40ps / 4,500rpm(最高速度150km/h)
E
製造期間
1937年~1938年、および、1941年~1948年
排気量
1,000cc(61キュービックインチ)
圧縮比
6.5
FL
製造期間
1941年~1948年
排気量
1,200cc(74キュービックインチ)
圧縮比
7.0
出力
48ps / 5,500rpm(最高速度160km/h)
F
製造期間
1942年~1948年
排気量
1,200cc(74キュービックインチ)
圧縮比
6.6
1936年 記念すべきファーストナックル。試作品に近く、ファーストナックルだけの特徴があります。
  • オープンロッカー
  • 左タンクキャップにプライマー(エンジン始動時にシリンダーに直接ガソリンを注入してかかりやすくするもの)が装備
  • ロッカーカバーのボルト(目玉)が丸形
  • スクエア型エアクリーナー
生産台数:1,526台
1937年
  • フレームを一新して強化
  • リアブレーキ大経化
  • スピードメーターを100マイル表示から120マイル表示に変更
生産台数:1,829台
1938年
  • エンジンスペックアップ
  • メーターダッシュがスカル型になりオイルプレッシャーと電圧の警告灯を装備
  • 丸形テールランプの終了
  • ノイズサイレンサーシールド付きハイテンションコードを装備
生産台数:2,289台
1939年
  • シフトパターンを(1-2-N-3-4)に変更
  • ビーハイブテールランプ装備
  • メーターダッシュをキャッツアイ型に変更
生産台数:2,695台
1940年
  • ファットタイヤを標準装備
  • ティアドロップ型タンクエンブレム採用
生産台数:3,893台
1941年
  • 1200cc FLモデルリリース
  • ホイールを18インチから16インチに変更
生産台数:4,732台 (内 FL:2,452 EL:2,280 )
1942年から1945年 第二次世界大戦により大きなモデルチェンジはなくメッキパーツ減少。
生産台数
1942年 1,419台 (内 FL:799 EL:620)
1943年 86台 (内 FL :33 EL:53)
1944年 288台 (内 FL:172 EL:116)
1945年 1,197台 (内 FL:799 EL:398)
1946年
  • キャッツアイ型メーターダッシュ終了
  • ボディーカラーにブルーとブラックが復活
生産台数:6,084台(内 FL:3,986 EL:2,098)
1947年 最終ナックル
  • クランクシャフト改良
  • 圧縮比アップ
  • 最高速度160kmオーバー達成
  • 直線型メーターダッシュ採用
  • スピードボールエンブレム採用
生産台数:11,010台(内 FL:6,893 EL:4,117)

ナックルヘッドの弱点

ファーストナックルはオープンロッカーで、やはり問題が頻発し、翌年に急遽ロッカーアームカバーを無理矢理追加してます。
そのため、オイルの回収方法がとても後付感満載で、オイル漏れも多いです。
また、リジットフレームの影響もあり、マウント周りやロッカー周りなどにクラックが入っている個体が多いです。

ナックルヘッドの部品は出るの?

なんと、80年近く経過しているにも関わらず、ほぼすべての部品が出ます!
ただし、純正部品の方が材質や精度が良く、状態の良い純正部品を探す羽目になることも多いです。
新品を買っても加工しないと付かないこともあります。

最終更新日時:

Author:エージェントY

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